私は年に3回くらい仕事をズル休みしている。なぜかと言うと、主に暇すぎてやることがないからだ。
何とかモチベーションを高く保とうとしても、すぐにグニャッとうなだれてしまう。腰痛もやる気を削いでいる要因の一つだ。
だから、どうしてもちょっと頑張れない、という日は、家の用事だとか体調不良だとか、適当な理由をつけて休んでいる。
今はもともと緩い職場環境ということもあり、バレたことはない。そして、かつて銀行という比較的厳しい職場においても、精神的な問題で休んだことがある。しかも3日連続で。
ただ、結果として元気を取り戻すきっかけになったし、ちょっと小言は言われたもののやっぱり休んで良かった。
みんな、もっと休もう。
―ズル休みじゃなくて心の調整期間
世の中の会社員の中には、非常に真面目でズル休みなんてとんでもない!という人もいるだろう。しかし、たまになら休んだって良いのだ。
すでに病んでいる人は絶対に休むべきだが、病む前に休むことも重要だと思う。
心の健康状態は他人からは見えにくいもの。
理想を言えば精神が病む前に自分でアクセルを緩めたり、ブレーキを踏んだりしておきたいところだ。
そして、ズル休みが心の調整期間だと考えれば「それって “ズル“ じゃなくね?」となるわけで。うん、ズルじゃない。ちゃんと必要な休みなのだ。
―銀行員で軽い鬱になった話
私が銀行員だったときの話。自分に課されたノルマや、手早く且つ正確な事務処理を求められるプレッシャーに耐えられなくなってしまった。
どんな仕事でもミスはない方が良いが、とりわけ銀行はミスに厳しい。事務のマニュアルもかなりキッチリしている。
私の得意なタイプの仕事から言えば、銀行の事務はかなり苦痛だった。
気づけばお寿司屋さんでお寿司を食べているだけなのに涙が溢れるようになり、夜は怖くて眠れなくなった。真っ暗な夜道を泣きながら途方もなくウロウロする日もあった。きっと、軽度の鬱だったのだろう。
ノルマについても私は未達事項へのプレッシャーを過度に背負っていた。朝礼で各人の数字を発表するときのこと。数字の取りまとめ役が全体の成績を報告している最中にめまいと吐き気を催しうずくまってしまった。どうやらそのときの私は顔が真っ青だったらしい。
さすがにちょっとまずいのでは、という自覚は自分でもあった。
そしてある日、仕事へ行こうとしたが泣けて泣けてもう電車に乗れなくなり、そのまま帰宅した。どうしようもなく辛かったのでさすがに休んだ。
「体調不良です」というと、上司からは具体的な症状を聞かれた。全くいい迷惑だ。聞いてどうする。いちいち聞いてくんな。休みたいから休むんだよ、しんどいんだよ。…と、今振り返っても思う。
―3日連続で仕事を休んだらすべてがどうでも良くなった
結局、私は3日間連続で仕事を休んだ。
それまで本当に体調不良で休む日はなかったし、むしろ、まあまあひどい風邪だったのに根性で頑張ったという日もあったくらいだ(その点に関して言えば周りへの迷惑を考えて休むべきだったが、新人研修中だったので途中リタイアが気まずくて頑張ってしまった)。
で、3日間休んだらどうなったのか。
結果として、もう数字とか細かな事務とかすべてがどうでも良くなった。開き直ったのだ。どうにでもなれという気持ちだった。
そして、もう一度頑張ろうという気持ちが芽生えつつも、もうこんな精神状態になるのはゴメンだという気持ちにもなり、そこから徐々に退職に向けて覚悟が決まっていくのであった。
―他人に伝わりにくい心のSOS
3日間休んだといっても完全に復活したわけではなかった
。3日ぶりに出勤したら、次長から個室に呼ばれ、(細かくは覚えていないが)「みんな頑張っているのだから」とか、「俺も若いころは…」といった話を聞かされるハメになってしまった。
最終的に「次に休んだら家まで迎えに行くぞ!」と(冗談っぽくではあったが)あまり励ましにならない言葉を受けた。
一番衝撃を受けたのは、「朝食をちゃんと食べていないからそうなるんだ!」という言葉である。
誤解のないように言っておくと、この次長は非常に人柄も良く決してパワハラ系ではない。
しかし、そのときの次長の言葉はあまりにもトンチンカンすぎて、さすがに「ええーーーー?!違うってば…」と思わざるを得なかった。朝ご飯を食べないから元気がなくて3日間休むだなんて、そんなワケないだろ。あまりにも気持ちがしんどくて当時は小さなパン1つですら食べる元気がなかったのだ。
そして私は次長の一方的な話を聞いている最中に手足のしびれとめまいに襲われ、話の途中で休憩室に行くハメになってしまった。
休憩室で休んでいると、次長が大きなビニール袋を持ってやってきた。中を見るとたくさんのパン、カロリーメイト、ポカリなどが…。次長、私の精神的な問題はご理解いただけなかったようですが、差し入れありがとうございました。
―心を整理できるならズル休みなんて安いもん
病んでいるにせよ、単にスイッチが入らないだけにせよ、休むことで気持ちがリフレッシュされるなら別にちょっとサボタージュするくらい良いじゃん、と私は思う。
職場に迷惑がかかるかもしれない、と心配な人は、きっと普段から周りに迷惑をかけないように気を張っているのだろう。そんな気遣いのできる人が1日休んだくらいで罪悪感を覚える必要はない。
そもそも、私が働いていた銀行のように、別にちょっと休んだからといって何も問題はないにもかかわらず、休まず頑張るのが当たり前だから休むのはダメだというスタンスの職場もある。
そういう職場では周りも気を病んでいるケースが多いが、周囲のことは置いておきまず自分の精神的な安定を確保したい。
―休む理由やスタンス
休むときに何と伝えるべきか悩む人へ送りたい。
休む理由はもう体調不良か家の用事かのどちらかで押し通せば良い。細かく聞かれたらめまいがするとか、親・子どもの看病とかで大丈夫だろう。注意点と言えば、罪悪感を抱かないようにすることくらいだ。
後でバレたらどうするのか。
その時は正直に言えば良いのではと思う。「最近、仕事が辛くて精神的にどうしてもしんどく、休むことにした」「どうしても気持ちが前向きならず、少し考えたかった」など。そんな人を責める職場なら、辞めた方が良いと思う。
―「周りに相談」だけをアテにせず自己判断を
会社やAIは「信頼できる人に相談しましょう」と言うが、「仕事ホントに辛くて…」とか、「やる気が全くでなくて…」と気軽に相談して真剣な回答を得られる人がどれくらいいるだろう。
下手に相談すると役に立たない一般論を述べられて終了である。場合によっては「考えが甘いよ」「みんな頑張っているんだから」と鞭を打たれて余計に気持ちが落ちる。
だから、私は周りへの相談ありきで働くのではなく、自分で休みが必要かどうかを判断し、休む時は思い切って休む勇気が大事だと考えている。
「でも仕事が…」「自分がいないと…」「大事な時期で…」「自分が甘えているから…」そう思ってしまう人へ。
じゃあどうしますか?結局、職場で起きている問題は個人の頑張りだけでどうにもならないことがほとんどだ。
あなたばかりに仕事が降りかかってくる環境や、やる気が大幅に削がれる環境であれば、そもそもあなたは大事にされていないことになる。
それならば、周りに気を遣うよりも自己判断で立ち止まる時間を作った方が精神衛生的に良いのではないか。
本当に気が病んでしまうと、自ら休むという判断を下すことすらできなくなってしまう。例え周りが「それってズル休みじゃん」と言おうとも、自分が必要だと感じたら早いうちにいったん休もう。
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